2023.03.16

データセンター内のサーバーを液体冷却、冷却電力の94%減を達成

2022年4月からKDDI株式会社、三菱重工株式会社、NECネッツエスアイ株式会社のもと実施してまいりました液浸冷却装置の大規模構成での利用を想定した実証実験において、冷却電力の94%減を達成しました。
2023年度中のサービス提供開始に向け、各社と協業体制を強化し、液浸冷却装置の社会実装を推進してまいります。

以下KDDI株式会社プレスリリースからの抜粋


KDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 髙橋 誠、以下 KDDI)、三菱重工業株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 泉澤 清次、以下 三菱重工)、NECネッツエスアイ株式会社 (本社: 東京都文京区、代表取締役執行役員社長: 牛島 祐之、以下 NECネッツエスアイ) は、2023年2月28日、脱炭素に貢献するサステナブルデータセンターを目指し、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置の大規模構成での利用を想定した実証実験(以下 本実証)を行い、冷却設備におけるティア4 (注1) レベルでの安定稼働に成功しました。
従来型のデータセンターと比較し、サーバー冷却のために消費される電力を94%削減 (注2)、データセンターの電力使用効率を示すPUE値1.05 (注3) を実現しました。なお、本実証はKDDI小山ネットワークセンター (以下 KDDI小山NC) で実施しました。
3社は、大規模データセンターからコンテナ型データセンター (注4) まで幅広い活用を想定し、2023年度中に液浸データセンターの提供を開始します。

https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2023/03/06/6597.html

https://news.kddi.com/kddi/corporate/english/newsrelease/2023/03/06/6669.html

《 液浸データセンター全景 》

《 室内: 液浸冷却装置 》

《 室外: フリークーリング装置 》


【本実証について】
1.実証期間
2022 年 4 月 1 日から 2023 年 3 月 31 日
2.実証内容
(1)冷却効率の立証
最適化された外気空冷を行うフリークーリング装置 (注5) を含む液浸システムを開発し、データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化をすることで、サーバー冷却のために消費される電力の94%削減とPUE値1.05を実現しました。
(2)高可用性の実現
液浸冷却装置およびフリークーリング装置に高い可用性を持たせ、ティア4レベルの液浸データセンターでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を立証しました。加えて、IT機器が発する騒音は空冷方式に比べて約35dBの低減 (注6) を実現しました。
(3)商用化を見据えた、保守マニュアル整備
国内での商用利用を見据え、保守体制の検討、保守マニュアルの整備も含めた実践的な運用を行いました。
3.当社の役割
液浸冷却装置の設計及び製作、運用性を考慮した周辺設備の開発。
4.参画企業
主要企業: KDDI  /  三菱重工  / NECネッツエスアイ
協力企業:当社を含む18社

注1)ティアとは、データセンターの品質を評価・格付けする基準です。ティア4とは、付帯設備の冗長性などによりデータセンターとしての品質が最も高く維持されているという基準です。
注2)PUE値1.7 (現在稼働中の一般的なDCのPUE値) のデータセンターの総電力と比較した場合。
注3)PUEとは、Power usage effectivenessの略称で、データセンターのエネルギー効率を測る一般的な指標です。「データセンター全体の消費電力量 (kWh) ÷IT機器の消費電力量 (kWh)」で算出され、値が小さいほどデータセンターのエネルギー効率が良いとされています。
注4)50kVA相当のサーバーを液浸システム (液浸冷却装置+フリークーリング装置) 一式に実装し、よりエンドユーザーに近い場所で処理を行う可搬性を備えた小型のデータセンターです。
注5)外気を利用して冷却水を直接冷やす方式で、空冷サーバー用に通常使用する空冷チラーを稼動させずに冷却水を供給し、空冷チラー内の圧縮機動力を必要とせずファン動力と冷却水の搬送動力のみで冷却ができます。これにより外気温次第でランニングコストの低減が可能となります。
注6)dB (デシベル) は騒音の大きさを表現する際に利用されます。基準となる量との比を対数によって表すもので、今回の実証で確認できた静粛性は、空冷サーバー: 地下鉄の構内レベルから、液浸サーバー: 日常の会話レベルまで軽減できる騒音の大きさとなります。